ロッククライミングはとても達成感を得られるスポーツであると同時に非常に危険なスポーツでもあるのでやる際は細心の注意をはらってやりましょう。 GoPro fall at Garden of the Gods
登攀において、その昔は、「中間支点」には自然のものしか利用しま せんでした。たとえば木だったり、上向きに尖った岩角だったり。木の幹に短い紐を回して輪っかを作り、その紐にザイルを通すことで、 どういう方向に落ちてもそこで止まるようになります。現代伝統登攀では、この原理が使われることが最も 多いです。ただし、受動的に石や岩が都合良くはさまっている裂け目を探し回るよりむしろ、あえてそういう状態を(一時的に)人為的に創り出します。端的には、石をポケットに詰めていって、大きさのあった裂け目に、 石を入れ込んでやればいい、という原理です(あくまで原理。実際はそのために開発された金属物を使うのが普通です)。また、しばしば崖の中腹に立派な太さの木が生えています。木の幹に短いロープ(スリング(sling)またはシュリンゲ(Schlinge(独語)))などを巻き付けて支点のできあがりです。木でなく石柱(spike)だと一層確実。 あるいは、岩に(両端の開いた)穴が開いていれば(特に石灰岩に多い)、その穴にスリングを通しても立派な支点です。 支点の強度は、その穴の「(岩の)柱」の強さに依存します。昔、ある漫画で、「単独初登頂」の時に、前から垂れているロープに 掴まって登る姿がありましたが……、そのロープ、どうやって張ったっちゅうねん、と思わず突っ込んでしまいました。当然、 「初登頂」ならば、自分の手が届く範囲より先にロープを張るのは不 可能です。そのうち、岩に楔を打ち込む、という手法が使われるようになりまし た。いわゆるハーケン(鉄釘)。一旦、楔を打ち込んだら、その楔は、中間支点になるだけでなく、そこに手足をかけて登ることもできます。 加えて、その楔にあぶみ(一種の縄梯子)をかけることで、(比較的)容易に登ることができるようになりました。こういう登攀方法をエイド・ クライミング(直訳すれば援助登攀; 多分、「人工登攀」という用語がより一般的)と言います。以下では、スポーツクライミングにおいて、中間支点をどうやって作るか、 述べていきます。登攀とは手足を使って急角度の壁をよじ登ること。そして、 岩登りとは、文字通り岩、岩壁を登ること。だから端的にはどう登ってもいいわけです。裏山の岩をひょいと登れば、それも岩登り。でも、 10m の岩を登っていてもし落ちたら運が良くても大怪我、100mの岩な ら、即死間違いありません。だから、ロープを使って、仮に落ちても途中で止まるよう、最悪の事態は避けられるように登ります。結果、少なくとも英国では、半世紀前に打ち込まれたようなピトンを見かける事が稀にあっても(そしてそういったピトンが「自己責任で」支点として利用されることがあっても)、その数は減ることはあっても増えることは ありません。現実の岩登りでは、普通は、二人(以上)の組で登ります。最初に登る人(リーダー)を、後から登る人が、ロープを使って下から確保します。 たとえば、登り初め(垂壁の真ん中を想像して下さい)から 5m登って、 そこで落ちた場合、リーダーは、崖の下まで落ちる代わりに、確保者 との距離の 2倍、つまり 10m落ちるだけで済む、という次第。つまり、好き放題打ち込んでいたわけではありません。現代では、 彼ら先達の姿勢は突き詰められ、実質上、夏の伝統登攀の岩登りのルートにピトンを打ち込むのは「厳禁」となっています。その行為は、石切り屋が岩を変形させるのと同じことで、ルート破壊と見なされます。つまり、ピトンを打ち込めなければ登れないようなら、(リードで)登るな、ということです。技術的欠点だけなら、それでも使いたい人だけが使えばいい、ということになりますが、実際は、ピトンには、さらに重大な問題があります。 ひとつには、一度(岩の裂け目に)打ち込んだピトンは回収されずに残される(ことが少なくなかった)ということです。つまり、後から登る人は、最早、最初に登る人と同じ条件で登るわけでは無くなります。結果、昔からあるようなルートなら、山のようなピトンが半永久的に残される、ということになりかねません(後から登る人は、ルートに残された(残置)ピトンが信用できないと思えば、自分で新しいピトンを打ち込みますから)。「フリークライミング」 = 「危ないもの」と勘違いしている人を時 にみかけますが……、それは大いなる誤解です。通常、落ちたときの保険として、ザイルで確保しながら登るわけですから。たかが中間支点、されど中間支点……。実際、中間支点の強度は、 大袈裟でなく、時に生死を決します。現代の(特に米国で発達した)クリーン・エイドでは、原則として、打ち込んだピトンは、(同じパーティー内でリーダーの後に登る仲間が)回収します。 それでも、特に有名なルートの場合、何百人もの人々が同じ岩の割れ目にピトンを打つことに変わりはありません。つまり、次第に岩の割れ目が広がっていくことになります (それが顕著に見られる例は枚挙に暇がありません)。言い換えれば、人が登るたび、ルートの形が徐々に変わっていくことになるのです。一般的には、そこまで面倒なことはせずに(岩場まで重機を持ち込むのも 大変ですしね)、ほとんどの場合は、あらかじめ金属ボルトを岩に打ち込んでおくことで、 支点としています。具体的には、岩場の上から垂らしたロープで、上から懸垂下降などで降りてき て(実際に登る何日も前の話)、電動ハンドドリルで岩に穴を開け、そこに金属ボルト(太い釘のようなもの)を打ち込み、強力接着剤(建築 用並の強度があるらしい)を流し込んで固定します。この支点は、実質上、岩と同化しているのと同じことで、当然、恐ろしく 頑強な支点になります(強力接着剤を使わない方法もあります。支点強度は弱いですが、設置は容易です)。この時に使う太いロープのことを、しばしば「ザイル」と言います。 ドイツ語の Seil です。というところでしょうか(「ファイト〜!」「いっぱ〜つ!」なんて叫びながら? (笑))。僕が実際に岩登りを始める前の印象はそんなものでした。英国でのこの唯一の例外は、冬のルートです。冬には、岩の裂け目が雪や氷で詰まっていることが少なくなく、ピトン以外に有力な支点作成法がないことが往々にしてあるからです。そして、冬のルートは、一般に夏は登れないので、冬期、それもそのルートを登るために出向く人にだけにしか見えない、ということで、一応許容されている次第です(逆に言えば、夏も登れるルート なら、ピトンは使うべきではありません)。ということに疑問を持った人々が、 中間支点を作る(使う)のはいいとしても、それは万一落ちたときの保険としてだけ使って、実際に登る補助には使わない、という「ルール」 を作りました。これがフリークライミングです。フリークライミングで、ある岩を登れるならば、それは実質的に、何も道具無しで登れる ことに等しい、というわけです。このピトンの使用には、二、三、重大な問題点があります。 結果、現代の少なくともフリークライミングでは、「ハンマーでもってハーケンを岩に叩き込み」 は最早過去の話になっています。実際には、フリークライミング、特にスポーツクライミングでは、 「オンサイト」の意味が異なってきています。その解説はまたの機会に譲ります。ただ、 「オンサイト」の精神は上に述べたことにあるのには変わりありません。スポーツ・クライミングでは、事前の「工事」が許されるので、 極論すれば、どんな大がかりな建設工事をしても構わないことになります。たとえば、岩場のすぐ横に、(重機を使って)腰周りほどある 金属柱を建てるなり、足場を組むなりして、そこに支点を作っても、倫理的に問題無いはずです。岩場では、岩にいろいろな裂け目があることが珍しくありません。 時には、そんな裂け目に石や岩がはさまってしっかり固定されている場合があります。その時、そんな石や岩にスリングを巻き付けると、 これも支点です。強度は、はさまった石や岩とはさまり方、そしてはさみこむ岩の裂け目の強さに依存します。登山の原点は、今までに誰も登ったことがない山を登ることにあり ましょう。もちろん、飛行機やヘリで頂上に着陸したのでは登ったことにはならなくて、やっぱり下から自分の足で登って初めて 「登山」と言えます。今までに誰も登ったことがないのだから、たとえばどこが危ないとかの情報も原則ありません。せいぜい、下から 双眼鏡で観察するくらいのもの。ましてや、たとえば槍穂の縦走路のように、途中で鎖があったり梯子がかかっていたりもしません。個人的には、この英国伝統登攀の原則は、大いに気に入ってます。こういった先達が磨いてきた「倫理」感(ethics)のおかげで、現代を生きる僕も、「クラシック(伝統)」ルートを、初登攀の人が登ったのと同じ(ような)状況で、(確保者以外の)誰の助けも借りずに、登ることができる次第です。 これは、クライミングの「進化」と僕は捉えるところです。こういったピトンの重大な問題点が 認識された結果、(ピトンよりも優れた方法の普及とあいまって)現代の英国伝統登攀では、ピトンの使用はほぼ完全に禁止されています。こういう登山の原点の流れをそのまま汲むのが、「オンサイト」で す。つまり、誰かがあつらえてくれた事前の準備(梯子とか)はなく、それだけでなく事前の(例えばどこが危ないとか、何の道具が必要と か)情報も無く、あるルートを登ることを「オンサイト(onsightまたは on sight)」 と言います。今の時代、登るのは山頂である必要は全然なく、新しいルートでも十分ですし、あるいは誰かがすでに登ったルートであっ ても、登る人(またはパーティー)自身がそのルートについて全然知らず、誰の助けも借りないなら、それは「オンサイト」と見なされます。 現実には、フリークライミングであるルートをオンサイトした、と言った時には、もしポピュラーなルートなら、そのルートは今までに何百、何千という人によって登られている、ということは珍しくありません。リーダーが上まで登りきったら、今度は、リーダーが上から、ロープ で次に登る人(セカンド)を確保します。これは、単純ですね。落ちても、落下距離は最小限で済みますし、極論すれば、ロープを頼りにセ カンドを引き上げることも不可能ではありません。伝統登攀の基本概念は簡単で、そのルートを、今まで誰も登っていないのと同じ状態で登ることにあります。初登攀体験を繰り返す、と言ってもいいです。スポーツクライミングのルートの場合、岩場のあちこちに鈍い金属が 光っていて、先人の「工事」のあとを示していますし、登る人もそれを頼りに登っていきます。一方、 伝統登攀のルートの場合、原則、岩場には人工物は一切ありません。例えば、英国伝統登攀の代名詞とも言うべきスタニッジ・エッジには、1000をゆうに超えるルートがありますが、一本のボルトも存在しません。このページは、旧「欧州的登山生活」のサイトを移行したもので、現在はメンテナンスされていない部分です。悪しからず!現実には、英国の伝統登攀(トラッド)では、上の表現のうち、正しいのは、(多くの場合)「垂壁を登る」ところだけです。英国は涼しいから、そんなに汗はかきませんし。重い荷物持って登るような不経済で自虐的(?
登山やクライミングに欠かせないアイテム『カラビナ』。最近では普段使いに便利ということで、キーホルダーに使っている人も多いです。一見引っかけるだけの単純な構造に見えますが、実はカラビナには様々な種類があり、強度や機能が異なります。 アレックス・オノルドのクライミング経歴. そもそも、ボルダリングってなに?:ボルダリングは、「ボルダー」と呼ばれる巨大な石っころを登って楽しむ、ロッククライミングのひとつのジャンルとしてはじまりました。山や河原、海岸などへ行くと、小型自動車からマイクロバス程度の大きな石が転がっていますよね。 カラビナのブランド別30選!実は色々なタイプのものが販売されていますが、元々のカラビナの用途はご存じですか?アウトドアアクティビティは...ロープクライミングに必要な道具の一つ「ハーネス」。ジムではレンタル品を借りている人も多いのではないでしょうか?「そろそろ自分のハーネス...登山やクライミングに欠かせないアイテム『カラビナ』。最近では普段使いに便利ということで、キーホルダーに使っている人も多いです。一見引っかけるだけの単純な構造に見えますが、実はカラビナには様々な種類があり、強度や機能が異なります。今回はそんなカラビナの使い方・種類からシーン別のおすすめ商品までをご紹介していきます!フリークライミングの中でも、高い到達点を目指す「ロープクライミング」。ロープはまさに命綱。ロープクライミングを本格的に行う場合には、ク...チャムスのキーリング、とても可愛いです。お店で見てその日に購入できなかったので楽天で探していました。ワッカではないのでちょっとはみ出る感じになりますが、チャムスのこの形、愛敬があって可愛すぎです。意味もなくカバンにつけてしまいます。レベルアップを目指す外岩ハング好きのイレブンクライマー。アイスやマルチ、時々山女子になります。失敗しないクライミングロープの選び方!メーカー別おすすめモデル紹介細かい違いは侮れない!知っておくべきクライミング用ハーネスの選び方