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会社は、具体的な日時を指定して社員に勤務を命じることはできませんが、「フレキシブルタイム(出勤してもよい時間帯)」や「コアタイム(出勤しなければならない時間帯)」を定めておくことで一定の制限をかけることができます。こんにちは。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタントの篠原宏治です。法改正後は、例えば、6月1日から8月31日までの3ヶ月(92日)を清算期間として定められるようになります。自己管理が十分にできない社員にフレックスタイム制を導入すると勤務時間がルーズになり、かえって業務効率が低下してしまうケースも考えられ、これが原因でフレックスタイム制度を廃止したという会社も少なくありません。例えば、6月250時間、7月150時間、8月120時間(合計520時間)の労働を行った場合、清算期間全体では週平均40時間以下の労働しか行っていませんが、6月は週平均50時間を超える時間(約214時間)を超える約36時間について割増賃金の支払いが必要となります。一方で、「3ヶ月のフレックスタイム制」にはいくつかの注意点があります。3ヶ月という長期間にわたって適切に業務配分が行われなかった場合には、業務遂行に大きな支障が生じるおそれがあります。3ヶ月のフレックスタイム制は、うまく活用すれば会社にとっても社員にとってもメリットが大きい制度ですが、長期間の労働時間配分を社員の裁量に委ねるには様々なリスクが伴います。年の瀬となり、2019年4月からの働き方改革関連法の施行期日も目前に迫ってきました。特に労働基準法は制定以来の約70年ぶりの大改正とも言われていて、長時間労働の防止と多様で柔軟な働き方の実現のため「時間外労働の罰則付き上限規制」「割増賃金率引き上げの猶予措置の廃止」「年次有給休暇の時季指定義務化」「3ヶ月のフレックスタイム制」「高度プロフェッショナル制度」など、大きな制度改正が行われます。フレックスタイム制の導入によって、社員は自分の都合や業務の繁閑にあわせて効率的に時間配分を行なうことが可能となり、残業削減、働きやすさの向上、ワークライフバランスの改善などが期待できます。ただし、清算期間を1ヶ月ごとに区分した各月において週平均50時間を超える労働時間は、その月の時間外労働として取り扱われます。今回は、「3ヶ月のフレックスタイム制」について概要と導入時の留意点を解説します。この例の場合、週平均40時間を当該清算期間における総労働時間に換算すると約525時間(40時間×92日÷7)となりますので、社員は、3ヶ月の間に約525時間の労働時間をフレキシブルタイムやコアタイムを守る範囲で自由に配分することができます。更に、特定の月の労働時間が極端に長くなった場合には、清算期間における総労働時間が週平均40時間を超えていない場合であっても、割増賃金の支払いが必要となる場合があります。導入の是非については十分に検討を行い、フレキシブルタイムやコアタイムの適切な設定や業務の進捗状況を確認する仕組みを整えるなどの対策が重要となります。例えば、6月〜8月までの労働時間が各月210時間(合計630時間)で、“清算期間を1ヶ月”としていた場合には、各月において週平均40時間を超える時間(約33時間または約39時間)が時間外労働として清算されていました。清算期間を3ヶ月(1ヶ月を超える期間)にした場合でも、清算期間を通じて週平均40時間を超える時間が時間外労働となるのは従来と変わりありません。従業員からの情報収集にはじまり、面倒な手続き書類の自動作成、役所へのWeb申請も可能です。これにより、従来はできなかった月をまたいだ繁閑への効率的な業務配分や、社員の生活上のニーズへの対応が出来るようになり、より柔軟な働き方が可能になります。大量の手書き作業や、転記ミスのチェック、役所へ出向くことも、窓口で並ぶことも、もう必要ありません。 フレックスタイム制は、労使協定によって労働者に始業時間と終業時間を委ねることとした場合に「清算期間」を通じて“週平均40時間”まで勤務させることができる制度です。通常は、1日8時間または週40時間を超える労働時間が時間外労働(割増率125%)となりますが、フレックスタイム制を導入した場合は、各日または各週の労働時間の長さにかかわらず、清算期間を通じて週平均40時間を超える時間が時間外労働となります … フレックスタイム期間中に休日労働(法定休日に労働)をさせた場合は総労働時間などとは別に扱われ、35%以上の割増賃金の支払い義務が生じます。さらに、月60時間を超える時間外労働に対してもフレックス制を導入していないときと同様に50%以上の率で計算した割増賃金の支払い義務も生じます。(現在は大企業のみで2023年4月1日は中小企業も)その上、フレックスタイム制の場合も労働者を残業させる可能性がある場合は別途36協定を締結して届け出る必要があり、時間外労働の上限もしっかりと守らなければいけません。清算期間を1ヶ月から3ヶ月に変更する事で事業主側にとっては労働者の時間管理がより煩雑となります。しっかりと管理をしていないと極端に残業時間が多くなってしまう労働者も出てきてしまうかもしれません。事業主側も個々の労働者の労働時間をしっかりとチェックしないと中には医師面談の対象となりうる月80時間以上の残業をする労働者も出てきてしまうかもしれません。長い残業時間で心身を壊してしまう労働者が出てこないように注意しましょう。清算期間が3ヶ月のフレックスタイム制は労働者側から見てもデメリットがあります。まず、3ヶ月単位で自身の労働時間を管理していく必要があるので、自己管理が苦手な労働者の方にとっては結構大変かと思います。また、清算期間のうちの最初の2ヶ月間で労働時間が極端に多くなってしまったケースや、逆に極端に少なくなってしまった場合は最後の月で労働時間を調整しなければいけなくなるので、自由度の高いはずのフレックス制でありながら自身が希望するような働き方が出来ない可能性もあります。まず、フレックスの清算期間が1ヶ月を超える場合も、繁忙月に極端に偏った労働時間とすることは出来ません。清算期間が1ヶ月を超える場合には「清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えない事」、「1ヶ月毎の労働時間が、週平均50時間を超えないこと」という二つの条件を満たさないといけません。いずれかを超えた場合は時間外労働となり、残業代の支払い義務が生じます。ちなみに法定労働時間の総枠の上限は清算期間の歴日数によって決定され、92日の場合は525.7時間、91日の場合は520時間、90日の場合は514.2時間、89日の場合は508.5時間です。(ただし、完全週休2日制の企業の場合は労使協定を締結することで法定労働時間の総枠を「清算期間の所定労働日数×8時間」とする事も可能です)これらの条件を念頭に置いた上で運用をしていく必要がありますので、清算期間1ヶ月の際よりも従業員の時間管理が大変となります。この清算期間3ヶ月のフレックスタイム制とは相性のいい業種とそうでない業種があると思います。職種で言えば営業職は顧客の勤務時間などに合わせなければいけないケースが多いですし、飲食業だと営業時間が固定されているので難しいのではないでしょうか。その事からフレックスタイム制自体あまり相性がよくないと思います。また、他の部署や他の企業と一緒に仕事をするような機会が多い職種などもフレックスタイム制には向かないでしょう。フレックスタイム制の導入が最も進んでいる業種が「情報通信産業」です。外部からの影響が少ない業種、職種がフレックスタイム制に向いていると言えると思います。また、その中でも繁忙月と閑散月がはっきりと決まっている業種ならば3ヶ月のフレックスタイム制のメリットを享受しやすいので導入を検討してもいいと思います。事業主側から見ると清算期間3ヶ月間のフレックスタイム制には大きなデメリットもあります。一番のデメリットとしては時間管理がより煩雑になってしまう点です。煩雑となってしまう理由を以下の通りです。この3ヶ月のフレックスタイムは労働者から見てもメリットがあります。通常所定労働時間を下回った月があると月給から足りない時間分を控除というケースが多いと思いますが、そんな時でも他の月に残業をすることで減給を回避できる可能性があります。労働者にとっても働く時間を調整しやすい制度と言えると思います。上手く制度を活用すれば自身のライフワークに合せて労働時間等を調整できますので、より働きやすくなると思います。但し、いくら自由に勤務することができるとは言え顧客との約束や打合せをすっぽかすことが多々あると労働契約法第3条4項、誠実勤務義務違反になりますので注意が必要です。まず、清算期間3ヶ月のフレックスタイム制とすることで自由度の高い働き方が出来るので、求人募集をする際も大きなアピール材料となり通常よりも応募者も増える可能性が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。フレックスタイム制は働きやすさを感じる労働者も多いので、職場の離職率低下にも寄与するでしょう。また、清算期間が3ヶ月となることで従来であれば残業代の支払い義務が生じていたケースでも、残業代の支払いが不要になるケースもあります。繁忙期や閑散期を見据えての業務の割り振りもしやすくなるので、その辺もメリットと言えると思います。フレックスタイム制は労働者自身で始業時間や就業時間などを決定して働くことの出来る制度です。フレックスタイム制の導入の際には就業規則にフレックスタイム制に関する規定を追加した上で労使協定を締結しなければなりません。フレックスタイム制の導入の際には対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間(清算期間の所定労働時間)、標準となる1日の労働時間を労使協定で定める必要があります。(任意ですが、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はこれらも労使協定で定める必要があります)労働者にとって非常にメリットが多い制度ではありますが、新たに導入する際に事業主の方は労働者の方としっかりと相談した上で制度を設計していくのが望ましいと思います。清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制を導入する際には就業規則を改定し、労使協定で所定の事項を定めた上で、その労使協定を所轄の労働基準監督署へ届け出なければいけません。これに違反すると罰則が科されるかもしれませんので、しっかりと届け出て下さい(1か月以内のフレックスタイム制の場合は届け出不要)。また、労働者側との話し合いの機会を設けた上で、労働問題に強い弁護士や社会保険労務士などの専門家ともしっかりと相談した上で制度設計をしていくのが望ましいでしょう。参考厚生労働省 「フレックスタイム制のわかりやすい解説 & 導入の手引き」https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf法改正によりフレックスタイム制のルールが変わりました。以前はフレックスタイム制の清算期間は最長で1ヶ月間でしたが、法改正によって最長で清算期間を3ヶ月間とすることが可能となりました。あくまで清算期間の上限が緩和されただけなので、従前のように清算期間を1ヶ月間とすることももちろん可能です。法改正により柔軟な制度設計が出来るようになりました。フレックスタイム制の清算期間の上限緩和の法改正はいわゆる働き方改革の一環として行われたものです。例えば、子育てや家族の介護を行っている労働者にとってはフレックスの清算期間が長くなることでより柔軟な働き方が出来るので、家庭と仕事の両立がしやすくなります。
会社は、具体的な日時を指定して社員に勤務を命じることはできませんが、「フレキシブルタイム(出勤してもよい時間帯)」や「コアタイム(出勤しなければならない時間帯)」を定めておくことで一定の制限をかけることができます。こんにちは。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタントの篠原宏治です。法改正後は、例えば、6月1日から8月31日までの3ヶ月(92日)を清算期間として定められるようになります。自己管理が十分にできない社員にフレックスタイム制を導入すると勤務時間がルーズになり、かえって業務効率が低下してしまうケースも考えられ、これが原因でフレックスタイム制度を廃止したという会社も少なくありません。例えば、6月250時間、7月150時間、8月120時間(合計520時間)の労働を行った場合、清算期間全体では週平均40時間以下の労働しか行っていませんが、6月は週平均50時間を超える時間(約214時間)を超える約36時間について割増賃金の支払いが必要となります。一方で、「3ヶ月のフレックスタイム制」にはいくつかの注意点があります。3ヶ月という長期間にわたって適切に業務配分が行われなかった場合には、業務遂行に大きな支障が生じるおそれがあります。3ヶ月のフレックスタイム制は、うまく活用すれば会社にとっても社員にとってもメリットが大きい制度ですが、長期間の労働時間配分を社員の裁量に委ねるには様々なリスクが伴います。年の瀬となり、2019年4月からの働き方改革関連法の施行期日も目前に迫ってきました。特に労働基準法は制定以来の約70年ぶりの大改正とも言われていて、長時間労働の防止と多様で柔軟な働き方の実現のため「時間外労働の罰則付き上限規制」「割増賃金率引き上げの猶予措置の廃止」「年次有給休暇の時季指定義務化」「3ヶ月のフレックスタイム制」「高度プロフェッショナル制度」など、大きな制度改正が行われます。フレックスタイム制の導入によって、社員は自分の都合や業務の繁閑にあわせて効率的に時間配分を行なうことが可能となり、残業削減、働きやすさの向上、ワークライフバランスの改善などが期待できます。ただし、清算期間を1ヶ月ごとに区分した各月において週平均50時間を超える労働時間は、その月の時間外労働として取り扱われます。今回は、「3ヶ月のフレックスタイム制」について概要と導入時の留意点を解説します。この例の場合、週平均40時間を当該清算期間における総労働時間に換算すると約525時間(40時間×92日÷7)となりますので、社員は、3ヶ月の間に約525時間の労働時間をフレキシブルタイムやコアタイムを守る範囲で自由に配分することができます。更に、特定の月の労働時間が極端に長くなった場合には、清算期間における総労働時間が週平均40時間を超えていない場合であっても、割増賃金の支払いが必要となる場合があります。導入の是非については十分に検討を行い、フレキシブルタイムやコアタイムの適切な設定や業務の進捗状況を確認する仕組みを整えるなどの対策が重要となります。例えば、6月〜8月までの労働時間が各月210時間(合計630時間)で、“清算期間を1ヶ月”としていた場合には、各月において週平均40時間を超える時間(約33時間または約39時間)が時間外労働として清算されていました。清算期間を3ヶ月(1ヶ月を超える期間)にした場合でも、清算期間を通じて週平均40時間を超える時間が時間外労働となるのは従来と変わりありません。従業員からの情報収集にはじまり、面倒な手続き書類の自動作成、役所へのWeb申請も可能です。これにより、従来はできなかった月をまたいだ繁閑への効率的な業務配分や、社員の生活上のニーズへの対応が出来るようになり、より柔軟な働き方が可能になります。大量の手書き作業や、転記ミスのチェック、役所へ出向くことも、窓口で並ぶことも、もう必要ありません。 フレックスタイム制は、労使協定によって労働者に始業時間と終業時間を委ねることとした場合に「清算期間」を通じて“週平均40時間”まで勤務させることができる制度です。通常は、1日8時間または週40時間を超える労働時間が時間外労働(割増率125%)となりますが、フレックスタイム制を導入した場合は、各日または各週の労働時間の長さにかかわらず、清算期間を通じて週平均40時間を超える時間が時間外労働となります … フレックスタイム期間中に休日労働(法定休日に労働)をさせた場合は総労働時間などとは別に扱われ、35%以上の割増賃金の支払い義務が生じます。さらに、月60時間を超える時間外労働に対してもフレックス制を導入していないときと同様に50%以上の率で計算した割増賃金の支払い義務も生じます。(現在は大企業のみで2023年4月1日は中小企業も)その上、フレックスタイム制の場合も労働者を残業させる可能性がある場合は別途36協定を締結して届け出る必要があり、時間外労働の上限もしっかりと守らなければいけません。清算期間を1ヶ月から3ヶ月に変更する事で事業主側にとっては労働者の時間管理がより煩雑となります。しっかりと管理をしていないと極端に残業時間が多くなってしまう労働者も出てきてしまうかもしれません。事業主側も個々の労働者の労働時間をしっかりとチェックしないと中には医師面談の対象となりうる月80時間以上の残業をする労働者も出てきてしまうかもしれません。長い残業時間で心身を壊してしまう労働者が出てこないように注意しましょう。清算期間が3ヶ月のフレックスタイム制は労働者側から見てもデメリットがあります。まず、3ヶ月単位で自身の労働時間を管理していく必要があるので、自己管理が苦手な労働者の方にとっては結構大変かと思います。また、清算期間のうちの最初の2ヶ月間で労働時間が極端に多くなってしまったケースや、逆に極端に少なくなってしまった場合は最後の月で労働時間を調整しなければいけなくなるので、自由度の高いはずのフレックス制でありながら自身が希望するような働き方が出来ない可能性もあります。まず、フレックスの清算期間が1ヶ月を超える場合も、繁忙月に極端に偏った労働時間とすることは出来ません。清算期間が1ヶ月を超える場合には「清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えない事」、「1ヶ月毎の労働時間が、週平均50時間を超えないこと」という二つの条件を満たさないといけません。いずれかを超えた場合は時間外労働となり、残業代の支払い義務が生じます。ちなみに法定労働時間の総枠の上限は清算期間の歴日数によって決定され、92日の場合は525.7時間、91日の場合は520時間、90日の場合は514.2時間、89日の場合は508.5時間です。(ただし、完全週休2日制の企業の場合は労使協定を締結することで法定労働時間の総枠を「清算期間の所定労働日数×8時間」とする事も可能です)これらの条件を念頭に置いた上で運用をしていく必要がありますので、清算期間1ヶ月の際よりも従業員の時間管理が大変となります。この清算期間3ヶ月のフレックスタイム制とは相性のいい業種とそうでない業種があると思います。職種で言えば営業職は顧客の勤務時間などに合わせなければいけないケースが多いですし、飲食業だと営業時間が固定されているので難しいのではないでしょうか。その事からフレックスタイム制自体あまり相性がよくないと思います。また、他の部署や他の企業と一緒に仕事をするような機会が多い職種などもフレックスタイム制には向かないでしょう。フレックスタイム制の導入が最も進んでいる業種が「情報通信産業」です。外部からの影響が少ない業種、職種がフレックスタイム制に向いていると言えると思います。また、その中でも繁忙月と閑散月がはっきりと決まっている業種ならば3ヶ月のフレックスタイム制のメリットを享受しやすいので導入を検討してもいいと思います。事業主側から見ると清算期間3ヶ月間のフレックスタイム制には大きなデメリットもあります。一番のデメリットとしては時間管理がより煩雑になってしまう点です。煩雑となってしまう理由を以下の通りです。この3ヶ月のフレックスタイムは労働者から見てもメリットがあります。通常所定労働時間を下回った月があると月給から足りない時間分を控除というケースが多いと思いますが、そんな時でも他の月に残業をすることで減給を回避できる可能性があります。労働者にとっても働く時間を調整しやすい制度と言えると思います。上手く制度を活用すれば自身のライフワークに合せて労働時間等を調整できますので、より働きやすくなると思います。但し、いくら自由に勤務することができるとは言え顧客との約束や打合せをすっぽかすことが多々あると労働契約法第3条4項、誠実勤務義務違反になりますので注意が必要です。まず、清算期間3ヶ月のフレックスタイム制とすることで自由度の高い働き方が出来るので、求人募集をする際も大きなアピール材料となり通常よりも応募者も増える可能性が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。フレックスタイム制は働きやすさを感じる労働者も多いので、職場の離職率低下にも寄与するでしょう。また、清算期間が3ヶ月となることで従来であれば残業代の支払い義務が生じていたケースでも、残業代の支払いが不要になるケースもあります。繁忙期や閑散期を見据えての業務の割り振りもしやすくなるので、その辺もメリットと言えると思います。フレックスタイム制は労働者自身で始業時間や就業時間などを決定して働くことの出来る制度です。フレックスタイム制の導入の際には就業規則にフレックスタイム制に関する規定を追加した上で労使協定を締結しなければなりません。フレックスタイム制の導入の際には対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間(清算期間の所定労働時間)、標準となる1日の労働時間を労使協定で定める必要があります。(任意ですが、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はこれらも労使協定で定める必要があります)労働者にとって非常にメリットが多い制度ではありますが、新たに導入する際に事業主の方は労働者の方としっかりと相談した上で制度を設計していくのが望ましいと思います。清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制を導入する際には就業規則を改定し、労使協定で所定の事項を定めた上で、その労使協定を所轄の労働基準監督署へ届け出なければいけません。これに違反すると罰則が科されるかもしれませんので、しっかりと届け出て下さい(1か月以内のフレックスタイム制の場合は届け出不要)。また、労働者側との話し合いの機会を設けた上で、労働問題に強い弁護士や社会保険労務士などの専門家ともしっかりと相談した上で制度設計をしていくのが望ましいでしょう。参考厚生労働省 「フレックスタイム制のわかりやすい解説 & 導入の手引き」https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf法改正によりフレックスタイム制のルールが変わりました。以前はフレックスタイム制の清算期間は最長で1ヶ月間でしたが、法改正によって最長で清算期間を3ヶ月間とすることが可能となりました。あくまで清算期間の上限が緩和されただけなので、従前のように清算期間を1ヶ月間とすることももちろん可能です。法改正により柔軟な制度設計が出来るようになりました。フレックスタイム制の清算期間の上限緩和の法改正はいわゆる働き方改革の一環として行われたものです。例えば、子育てや家族の介護を行っている労働者にとってはフレックスの清算期間が長くなることでより柔軟な働き方が出来るので、家庭と仕事の両立がしやすくなります。