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経営者や金融機関、投資家だけがさんざん儲けておいて、その後のツケを国民が引き受けるというバカげたことはあってはならない。金融機関や大手企業は、「政府に守られていると考えるのは、最終的に大きな勘違いだった」と思い知らされるタイミングが来るだろう。米ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で2020年4月20日、国際的な原油取引の指標WTIの5月の先物価格が1バレルあたりマイナス37.63ドルと、史上初めてマイナスを記録した。原油価格がマイナスになるという“考えられないこと”が起こったのである。これからは何があっても驚いてはならない。冷静に考えればわかるように、このような仕組みはいずれ破綻する。そして、7月22日のアジア市場では日本時間9時30分の時点で1847.29ドルまで急騰している。いよいよ2011年9月につけた史上最高値の1920.30ドルが視野に入ってきた。これまで米国などでは、株主還元の名のもとに、さんざん借金をして自社株買いを行い、配当を増やして株価を上昇させてきた。その状況を作り出したのちに、経営者は保有する自社株を高値で売り抜け、経営から退き、借金も放り出してきたのである。あとを受けた経営者からすれば、たまったものではない。FRBの使命は「雇用の最大化」と「インフレ率の抑制」だ。債券の買い入れによる経済の安定化ではないことは言わずもがなである。したがって、FRBが今回採用した政策への批判が高まるのは必至であり、FRBも買い入れる社債を選別せざるを得なくなる。全世界で感染者が1470万人を超えた(7/21現在)新型コロナウイルスの感染拡大で、一時的にせよ、各国が経済活動を完全に止め、大量の失業者が発生している。各国企業は収入を絶たれ、債務不履行・倒産のリスクが高まっている。人口動態の問題も、今後は重要なポイントになる。少子高齢化は経済の縮小均衡を意味する。「人・モノ・カネ」の流れが止まれば、デフレになる。現金が力を持つ世界になるということでもあるから、デフレであるうちはまだましかもしれない。しかし、その現金の価値が、デジタル化の加速の中で低下していったとしたらどうか。2021年以降は10年間ほど、厳しい状況が続くかもしれない。これまで十数年間、米国を中心にバブル経済に踊りに踊ってきたわけだから、それくらいの厳しい状況は我慢しなければならない。世界的な停滞が長期間続くリスクを念頭に置くことが求められている。2021年に東京五輪・パラリンピックが本当に開催されるかはまだ誰にもわからない。その先の世界経済の動向はもっと不透明な状況だ。今後の低成長時代に、実体経済や企業の実力に見合わないような株価水準に上がることもなくなっていく。資金供給の拡大で、株価が人為的に押し上げられるような経済が、永遠に続くと考えるには無理がある。新型コロナウイルスの感染拡大という背景があるにしても、企業は資金不足を理由に多額の社債を発行している。米企業の2020年4月の発行額は総額2294億ドルと、前年の3.6倍となり、月間ベースで過去最高を記録した。米連邦準備制度理事会(FRB)が大規模な社債購入を決めたことが、投資家の需要の回復につながったようである。このような高利回りに投資家が飛びつき、結果、ハイイールド債への需要が高まった。FRBが総額7500億ドルの買い入れ枠を設定したことで、FRBが「最後の買い手」として控えている安心感が起債の急回復につながったのであろう。莫大な資金供給で経済を無理やり回復させたのが、2008年のリーマン・ショック時の中国の巨額の財政出動だった。しかし、このような政策は、表面上はうまくいっているようでも、経済の実態とは大きな乖離が生じる。結局は需要のないところに無理やり資金を供給してさまざまなものを生産し、供給することで、経済が拡大しているかのように見せかけているだけでしかないからだ。ちなみに、1929年の米国に始まる世界恐慌の際には、株式市場の回復に約25年かかっている。今回はさすがにそのような長期間にわたることはないだろうが、それくらいの長期的視点と覚悟をもって日々の生活を過ごしていくことが求められるだろう。そこで起きたのが新型コロナウイルスの感染拡大であった。経営者たちは経営が苦しくなり、中央銀行に駆け込んで「債務を引き受けてほしい」と迫っているというのが現状である。そのとき投資家は「FRBが社債を買うと言ったじゃないか」と批判するだろう。しかし、そもそもフリーランチは存在しない。投資家が無知だったということになるだけだ。Facebook で「いいね」を押すと、似たようなストーリーをご覧いただけます確かにこれだけインパクトのある出来事は、人生でそう多くはない。ワクチン開発が成功するまでにも長い時間が必要になるだろう。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長で、トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部の主要メンバーでもあるアンソニー・ファウチ博士は、「年内にウイルスが根絶される可能性はほぼない」としている。私たちには、新型コロナウイルスと共存していく覚悟が必要だ。2008年のリーマン・ショックのときもそうだ。金融機関がサブプライムローンを束ねた金融商品(デリバティブ)を世界中にばらまき、それが焦げ付いたことで金融危機が発生。最終的にリーマン・ブラザーズという当時の投資銀行が破綻し、世界的な金融危機を引き起こした。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が著しく悪化している米ボーイングも社債を発行したが、その上乗せ金利は4.5%。2019年7月の発行分の0.9%から大きく上昇した。また、業績不振で政府に支援を仰いだデルタ航空も起債し、当面の資金繰りにめどを付けたものの、年7%の高い利回りが設定された。世界の経済成長率は大きく落ち込み、短期間では戻らない。世界的に経済活動が再開されても、以前の規模に回復するには数年単位の期間が必要とみられる。だが、今回打ち出された野放図な資金供給という政策が、はたして将来にわたって継続することは可能なのだろうか。また、副作用はないのか。そのとき、結果的に企業債務が拡大し、債務不履行による倒産ラッシュが起きることになる。多くの投資家が、不良債権をFRBがすべて引き受けるのは不可能であると思い知らされることになるのだが、そんなことは初めからわかり切っている。金価格が高騰を続けている。7月1日には一時1788.96ドルまで上昇し、2012年10月以来の高値を付けた。と思ったら、7月9日にはさらに1820.60ドルまで上昇してきた。 金価格が高騰を続けている。7月1日には一時1788.96ドルまで上昇し、2012年10月以来の高値を付けた。と思ったら、7月9日にはさらに1820.60ド…